その昔、図表はMicrosoft Excelを使って作成して、それをBMP形式またはGIF形式に書き出して、各種原稿の添付図に利用していました。しかし、所せん、Excelが描く図であるため、細かい部分の修正は必要不可欠でした。そこで、Excelで書き出した図を、Adobe Photoshopに読み込んで、文字や凡例の大きさ・位置などを修正しました。その結果、それらの図を大学学部の卒業論文に載せたところ、どこからか図を転用したのではないかという疑惑が生まれるほど、他人様の目から見て、それなりに高品質な図として評価されました。もちろん、身の潔白は証明いたしました。
この手法では、ひとまず、見るに堪えるだけの図を作ることはできます。しかし、実際に原稿に挿入してみると、図がにじむことが多々ありました。これが、どうしても気に入らないので、Adobe Illustratorを駆使して図・グラフを作成することを覚えました。このとき、いくら学割を使ったとはいえ、十数万円のAdobe社製品をアルバイトで稼いだ自分のお金で買ったため、ソフトウェアを使いこなしてやるという、強いモチベーションを維持することができました。
一方、研究論文を執筆する際は、Microsoft Wordではなく、Latexと呼ばれる組版の環境を使う機会が多くなりました。とくに、Latexでは、図はEPS形式と呼ばれる、PostScriptを拡張したファイルが標準で採用されています。他のフォーマットを導入することは可能ですが、素直に、Adobe Illustratorで作成した図を、EPSに書き出すことが最良の解決策になりました。
学会のLatexの組版の説明書を熟読すると、導入する図の大きさ、フォントサイズ等が細かく規定されていました。そこで、実寸サイズで作成してからEPSに出力して、それを版下原稿(カメラレディ)に利用することで、意図したとおりの図が利用でき、学会の詳細な規定を満たすことができるようになりました。ちなみに、Microsoft社関連、すなわち、WordやPower Pointに図を挿入するときは、にじみを防止するために、ウィンドウズメタ形式(WMF)に書き出して挿入しています。
従って、Adobe Illustrator、Adobe Photoshopを駆使することで、かなり満足できる図を作成して、利用することができるようになりました。しかし、Latexに挿入する場合は問題ないのですが、Power Pointに挿入するときに、図のにじみは発生しませんが、ゆがみが生じてしまいます。ゆがみが出ないように、縦横比(アスペクト比)を一定に保つようにしていますが、スライドの構成上、完全に補正することはできていません。
この図のゆがみ問題に関しては、これまで、妥協していたのですが、とても気に入らないポイントでした。解決策を模索しているときに、InDesignを利用して、プレゼンテーション資料を作成することに気がつきました。すなわち、図は、Illustratorのファイルを直接的に挿入して、InDesignを使ってスライドを作成します。最終的には、PDFに書き出しをして、PDFのフルスクリーンモードでプレゼンテーションを行います。
筆者の場合、アニメーションや凝ったプレゼンテーション技術は必要ないので、単にAcrobatのページ送りでも十分です。PDFでプレゼンをすることを前提とすれば、自分のパソコン以外を使わざるを得ない状況が発生しても、即座に対応することができそうです。
今後、試験的にInDesignを利用してみたいと思います。