ガラケーからスマートホンへ移行することにより、どのようなサービスにシフトしているかについては、いくつかピックアップしてみる。検索サービスは、従来の通信会社が提供するインターネットサービス(iモード類)から、一般のウェブアクセスが増えたことにより、パソコンと同じような検索サイトへシフトしている。SNS(ソーシャルネットワーク)は、mixiが完全に下火になり、Twitter、Facebookのシェアが拡大している。世界的には、TwitterよりもFacebookの方が大きいが、国内では逆転現象が起きている。音楽配信サービスは、iTuneの一人勝ちに近い状況になっている。
オンラインショッピングは、楽天市場とAmazonの2強体制は変わらないようだ。私もオンラインショッピングをする場合、とりあえず、Amazonと楽天で検索してから、価格比較サイト(価格ドットコム、コネコネット)あたりを見てから、商品価格、送料・手数料、納期を総合的に判断して購入する。動画配信サービスは、完全にYouTubeの一人勝ちである。悲しいことに、私的にお気に入りのUstreamのシェアはわずか0.3%しかない。正直なところ、もっとシェアがあるものだと思っていた。ただし、この統計の取り方として、すべての端末からのアクセスを対象としているか分からないため、この0.3%は多少前後するかもしれない。しかし、仮に10倍の3%と見積もったとしても、たかだかしれていると思った。従って、Ustreamを用いた「○○○活性化」というアプローチに関しては、多少見直す必要性もありそうだと感じた。
各レイヤを占める企業の顔ぶれを見てみると、はじめに、よくまとまった図だと感心する。これまで、通信事業者が握っていた、インフラ、端末、プラットフォームの類が、アプリケーションレイヤの事業者に浸食され、「通信の土管化」という表現が的確にその状況を差していると思う。とくに、通信事業(インフラの類)を除いて、Appleがほとんどのレイヤに進出している点、そのAppleがシェアを拡大している点は興味深い。
ICTが身近になるにつれ、それを操る人材という点では、Webデザインを専門とする人たちへの求人が、他と比較しても拡大している。とくに、2010年と比較して、約3倍に達していることから、インターネットを意識した専門職に就くことは重要であると思った。
モバイル環境におけるインターネットの利活用が増加するにつれ、ネットワークに与える負荷も拡大している。とくに、スマートホンが普及するにつれ、移動通信トラヒックは年間3倍近い伸び率を示している。トラヒック予測に関してはCiscoあたりのレポートを参照すると分かりやすい。とくに、既存のセルラシステム(3Gなど)では、これだけのトラヒックをどこまで捌ききれるかが勝負になってくるはずだ。
増加するトラヒックの生成を抑えるために、データ通信の定額制は維持できなくなるのはいいとして、「データオフロード」に注目したい。データオフロードとは、セルラシステムから他のシステムへ、トラヒックを移行することである。すなわち、インターネットに接続するばあい、セルラネットワークを経由するのではなく、自宅の無線LANを経由してもらうことで、セルラネットワークに流れるトラヒックを減らすものである。無線LANの導入率を見てみると、パソコン、スマートホン、タブレットを保有するほど、普及率が大きくなっている。無線LANに関しては、自宅だけではなく、公衆無線LANの拡大にも期待したい。