ようこそHAM-RADIO.ASIA
このウェブサイトは、うどん県(旧香川県)から発信している、完全に趣味に走った内容ばかりで構成されています。駄文ばかりですが、よろしくおつきあい下さい。本ブログの左側に、ちょコム送金口座の情報を試験的に公開します。こんなご時世ですが、私のブログに寄付・ドネーションをしていただける方は、よろしくお願いします。クレジットカードから簡単に決済することが可能です。また、銀行口座への振込みでもお待ちしております。 なお、このウェブサイトは、任意団体ダーファミリーが運営・管理を行っております。
2013年5月 管理人

2012/02/20

ボーコーダの比較

先日導入したAcrobitsはボーコーダを切り替えて使用することができる。ボーコーダとはアナログの音声信号をデジタル信号に変換するために使用する。アナログ信号をデジタル化するには、入力電圧(電力)と時間の点でデジタル化する必要がある。ここでいうデジタル化とは、アナログ値(連続)をデジタル値(離散)に変換することを指し、入力電圧(電力)は量子化、時間は標本化と言われる。標本化および量子化のパラメータを無限大に設定することは、アナログ信号そのもの(原信号)を意味する。しかし、その情報をデジタル機器で保存するために必要なデータ容量は無限大となるため非現実的である。

原信号を復元でき、かつ記録に必要な容量を最小化するためには、理論的にはシャノン標本化定理に従う。すなわち、原信号の最高周波数の2倍以上でデジタル化すれば、原信号を完全に復元することができる。音声(人間の声)に含まれる周波数成分は0.3-3.4kHzに分布しており、少なくとも4kHzの帯域があれば十分に相手に伝えることができる。各ボーコーダの標本化周波数が8kHzに設定されている根拠は、4kHz(音声の最高周波数)×2(シャノン標本化定理より)に起因する。量子化手法にはPCM方式とCELP方式がある。PCM方式は原信号をそのままデジタル化する。純粋なPCM方式はデータ量が大きくなるため、信号の差分をとることによりデータの削減を施したADPCMが主に使われている。CELP方式は、送信側でいくつかの信号パターン(コードブック)に分解する。コードブックを音声を基に最適化することで、PCM方式と比較してデータ量を大幅に削減できるが、音声の品質は劣っている。

ボーコーダの性能は、通信回線に乗せる帯域幅(デジタル化後の音声帯域幅)で比較する。すなわち、この帯域幅をできるだけ小さくすることで効率的な伝送が実現できる。ボーコーダの品質はMOS評点で比較する。MOS評点は実際に人の耳でそのボーコーダを通した音声を聞いて、5段階評価(5が一番良い)した平均値である。

IP電話サービスを無線通信ネットワークで使用する場合に重要なことは、通信帯域幅が音声帯域幅に比べて十分に大きい、通信回線のパケット遅延が小さい、通信回線でIP電話サービスのトラヒックを遮断していないことである。CELP系のボーコーダを使用すれば、通信帯域の制限がかかっていない状態(パケット定額サービスで、パケット通信の利用が多いユーザは意図的に通信回線の帯域を絞られる)であれば、3Gネットワーク(平均通信速度:数Mbit/s)で十分に利用できる。ただし、上り回線の速度は下り回線よりも小さく設定されている場合が多いため、音声帯域幅を十分に確保できないことがある(すなわち、自分の声が相手に伝わらない現象)。一方、3Gネットワークのパケット遅延は数百ミリ秒程度あるため、PCM方式のボーコーダでは厳しいことがある。パケット遅延が大きい場合、音声が送れて届く、エコー(山びこのような現象)が発生する。これらを踏まえて、IP電話サービス、通信回線などを選択しなければならない。

G.711 G.726 G.729a
量子化 PCM ADPCM ACELP
標本化 8kHz 8kHz 8kHz
帯域幅 64kbit/s 16-40kbit/s 8kbit/s
MOS評点 4.3 3.8 3.7

0 件のコメント:

コメントを投稿