携帯電話を海外で使う場合、その携帯電話が海外の通信方式・周波数で使えるか確認しなければならない。最近の携帯電話の通信方式には、GSM方式とW-CDMA方式の2種類がある。ちなみに、LTE、WiMAX、WiFiについては、別記事にて述べたいと思う。
世界の携帯電話の通信方式のシェアをみれば、GSM方式が優勢で、国内では圧倒的なシェアを占めているW-CDMA方式は少数派になってしまう。幸いなことに、最近の携帯電話は、GSM方式にも対応しているタイプが増えているので、仮にGSM方式しか使えないエリアであっても、携帯電話を使うことができる。
次に周波数について考えたい。周波数とは通信チャネルのことで、通信方式だけではなく、周波数も対応していなければならない。標準化の流れの中で、世界で使われている周波数は、大体、次に示す通りに集約されている。
方 式
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呼 称
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周波数
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備 考
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GSM
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GSM-850 | UL: 824~849MHz DL: 869~894MHz |
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GSM-900 | UL: 880~915MHz DL: 925~960MHz |
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GSM-1800 | UL: 1,710~1,785MHz DL: 1,805~1,880MHz |
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GSM-1900 | UL: 1,850~1,910MHz DL: 1,930~1,990MHz |
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W-CDMA
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3G-2100 (Band I) |
UL: 1,920~1,980MHz DL: 2,110~2,170MHz |
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3G-1700 (Band IX) |
UL: 1,749.9~1,784.9MHz DL: 1,844.9~1,879.9MHz |
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3G-850 (Band V) |
UL: 824~849MHz DL: 869~894MHz |
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3G-800 (Band VI) |
UL: 830~840MHz DL: 875~885MHz |
FOMAプラスエリア | |
3G-1900 (Band II) |
UL: 1,850~1,910MHz DL: 1,930~1,990MHz |
米国・カナダ | |
3G-1721 (Band IV) |
UL: 1,710~1,755MHz DL: 2,110~2,155MHz |
米国 | |
3G-900 (Band VIII) |
UL: 880~915MHz DL: 925~960MHz |
プラチナバンド | |
3G-1500 (Band VI) |
UL: 1,427.9~1,452.9MHz DL: 1,475.9~1,500.9MHz |
NTTドコモの携帯電話であれば、海外で利用できるかどうかの目安として、国際ローミングサービスにおいて、クラス1~4で分類されている。それらを次に示す。
- クラス1 : 3G
- クラス2 : 3G+3G850
- クラス3 : 3G+GSM
- クラス4 : 3G+3G850+GSM
先の表とこのクラスがどのように対応しているかは未知数だが、おそらく次のような対応をしているのではないかと推測する。
- 3G : 3G-2100、3G-1700、3G-800(FOMAプラスエリア対応機種)
- 3G850 : 3G-850
- GSM : GSM-900、GSM-1800、GSM-1900
- GSM850 : GSM-850
3G
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3G850
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GSM
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GSM850
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M1
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対応
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-
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対応
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-
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SingTel
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対応
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-
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対応
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-
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Starhub
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対応
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-
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対応
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-
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一方、ハワイの場合、通信方式/周波数の対応は次の通りである。GSM方式に対応した機種を持っていれば、少なくとも音声通話をする分には不自由な思いをすることはないように思う。しかし、GSM方式のパケット通信サービスは、数十キロ程度なので、最近のモバイルブロードバンドが当たり前になっている人間としては、かなり不満になるはずだ。
3G | 3G850 | GSM | GSM850 | |
AT&T | - | 対応 | 対応 | - |
Tmobile | - | - | 対応 | - |
ハワイにて、現地プリペイドSIM(または国際ローミング)を使って、それなりに快適なインターネット接続を実現するためには、AT&Tが提供する3G850に対応させなければならない。AT&Tの通信エリアを調べてみると、ハワイではほとんどのエリアで3Gサービスが提供されているようだ。むしろ、4G(おそらく3G-LTE)対応エリアもかなり広がっているようだ。
筆者の場合、N03DをNTTドコモの国際ローミングで持ち、N06Cを現地AT&TのプリペイドSIMで持とうと思う。このとき、N06Cは3G850に対応しているため、少なくともハワイ・コナの活動エリアでは、高速なインターネットアクセスができそうだ。